カーライフというよりもライフスタイル、あるいは生き方とでも表現するべきか。今、欧米では家を持たず、居場所を転々とする「バンライフ」が大きな注目を集めている。発信源となっているのが、インスタグラム等のSNS。バンライファーが発信するインスタ映えする日常は、投稿されるや否や拡散。企業からスポンサードを受けるバンライファーも多数出現している。そんな昨今だからこそ、ここで紹介するキャブライトも、ウッディーがデフォルトであるバンライフ仕様のクルマの影響を多大に受けた、と思われるかもしれない。しかし、オーナーの浅野サンは、やや違った角度から製作に乗り出した。というのも、浅野サンは内装工事や家具製作等々、何でもお任せあれのザ・職人。これまで培ってきた技術と感性を注ぎ込み形とするため、この車両製作に取り組んだのだ。

 もともと旧年式の商用車や西海岸のカスタムが好きだったこともあり、さりげないカッコよさを醸し出すカスタムイメージはすぐに思い浮かんだ。また、職人としての経験から、ボディ強度を高めるため、シェルというべきベッド上の木造構造物は、膨らみをもたせた三角形との結論を導き出し、そこに長年培った技術を投入! 適材適所に用いられた資材と卓越した技術により、見る人すべてを唸らせる、超絶とんがりフォルム&個性的なスペースデザインを造り上げたというワケだ。

 もうひとつ、忘れてはいけないのがクルマと木製シェルとの一体感だ。独特のヤレ感を纏ったキャブライトには素朴な外装がマッチするとの考えから、木目が生きる色味をチョイス。経年変化も見越して仕上げ済みで、年月を重ねるごとに円熟味が増していくこと必至。自然に溶け込む建築デザイン、いや車両デザインを施したキャブライトの妙に感心することしきりだ。

「どうしようもない商用車やトラックが好きなんで……」と笑う浅野サンがベースに選んだのは3代目のキャブライト。昭和の雰囲気漂うクルマとの相性を考えながら、居心地の良い空間と屋内で直立できるスペースの確保を目指し、製作に乗り出した。そもそも「荷台に建造物を積載しているのだからトラックじゃないの?」との声が聞こえてきそうだが、コレはれっきとした「バン」。その理由はバン登録に必要な開口部の基準などを満たしているから。キャンピングカーナンバー登録ではないので、シンクなどの設備を備える必要もナシ。ゆったり寛げるキャビンスペースには、さまざまな荷物から家具まで積載することが可能なのだ。

 さて、そんなクルマでこの日は森林浴。移動式リビングとも言えるシェルでまったり。窓から見える自然と、愛車との融合っぷりを楽しんだのだ。

 

摩訶不思議なフォルムが魅力 その名もとんがりトラック!

1969 DATSUN CABLIGHT

 

 

 キャブライトのボディはあえて純正色のままにし、経年変化が醸し出す独特の風合いを残した。特徴的なシェル形状は、室内の中心で大人が立てるスペースを確保しつつ、ベース車のラインに沿わすようロッカーパネルまで曲線を延ばしたら、必然とこのカタチに。屋根は四角のほうが製作は容易だが、三角のほうが、車両安定性とより一層の剛性を確保できる。また、シェル前面には通気性と採光性、デザイン性を考慮し、開閉式の船舶用窓を設置。

 壁面には軽量でありながら意匠性も兼ね備えた木毛板を使用。楢の無垢材で作られた框(かまち)ドアの窓部分は車検適合、軽量化の理由からガラスではなくポリカーボネート板を使用。ドアは800mm 四方以上というバン登録に必要な条件をクリア済み(室内側はロールスクリーンも装備される)。

 屋根には建築の外装材にも使われる福杉を採用。保護のため屋外用木部塗料で塗装している。メンテナンスしやすいなどの理由から防水シートはあえて入れていない。窓枠はオーナーの建築実務経験から得た、雨仕舞い知識を全て投入して設計・製作した。足元は旧車に見合うトラック用バイアスタイヤのヨコハマY45 だ。

狭い空間を最大限に生かすスペースデザイン

 キャビンのルーフ上まで屋内空間として伸びており、貨物使用の場合は長尺モノも積載できる。床材はホワイトチューリップ無垢材で、両サイドのテーブル部分は米ヒバ。張り巡らされたフレームを見せ、屋根裏っぽさを演出している。

 

ASANO SEKOU

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